板谷のり子が行った<討論>のあらまし
私も、判決当日に東京高裁へも出向き、その場で判決を聞きましたが、国立市にとってよかったのかどうか、にわかには判断のつきかねるものでした。
それというのも、判決そのものが、矛盾を孕むものであったからです。
これまで、国立市では、とくに大学通りでは、長年にわたり、市民が景観に配慮したまちづくりに取り組んできた歴史があり、上原市長もこの運動の中から、選ばれた市長であることから、市民の為にできる限りの努力をして、景観を守ることが当然だと考えます。
この判決では、明和地所の控訴が棄却されたこと、すなわち近隣住民がつくった地区計画や2000年1月に決定した条例を認め、建築物の最高の高さを20mとする部分を無効とする訴えを不適法とした点は、大いに評価できます。その一方で、市長に対し中立性を求め、明和という私人の営業活動を守る責務を負うとし、地区計画策定を「中立性・公平性を逸脱した急激かつ強引な行政施策の変更であるとし、これを不法行為と呼ぶのは、あまりに乱暴な話です。果たして、この業者が、フェアに営業活動をしていたのか、といえば、それはNOです。当時、私は、景観審議委員でしたが、審議会での明和の発言からは、この地がどんな場所か、充分承知の上で、マンション計画に踏み切った確信犯であったことは、周知の事実です。また、本件建物のうち、高さが20メートルを超える部分について、ライフラインの供給の承諾を留保するよう働きかけた一連の動きについて、本件建物の建築・販売の妨害と判断していますが、市民の利益を守るべき立場にある市長であれば、当然、市民が先行きの定まらぬマンションに入居し取り返しのつかなくなることを、未然に防止する行為は当然のことと考えます。また、実際には、ガスも、水道もストップはしておらず、時期もずれていることから、実害はなかったにもかかわらず、損害額を示しました。
損害賠償の額について、今回は、その性質上、損害額を確定できないからとし、民事訴訟法の248条を引き、損害額を定めてしまったことについても、到底納得のいくものではありません。
今回、議会が上告することを否決し、明和が上告をしたら、国立市にとっては大変不利な事態となります。明和が上告をしない保証は全くありません。損害賠償額をゼロにすることは、不可能となってしまいます。よって、この議案には賛成いたします。