かって自治体は、生ごみやし尿を衛生的に処理するために焼却という方法をとっていたが、高度経済成長政策に伴い使い捨て社会が出現し、廃棄物量が増加、ごみ焼却炉が急激に普及した。やがて、ごみの資源化やリサイクルがごみ処理方法の一種として位置付けられたが、ごみの処理と再生とはまったく異なる概念である。これが日本のごみ行政の限界であると氏はいう。
1、 物質不滅の法則
日本が海外から資源や製品を輸入している量は、加工して輸出している量の6倍にもなる。これらの物質はリサイクルされない限り、最終的にはごみとして埋立地に捨てられる。廃棄物は不滅の元素からできている物質であり、究極の廃棄物処理は資源化・リサイクル以外にはない。
2、 市町村のごみ処理が資源化を妨害する
自区内処理の原則というのは、実際には「自区内焼却」である。これが資源化の障害になっている。市町村の廃棄物処理は依然として収集・焼却・埋立という伝統的方式をとっており、90年代後半には、大型で長時間連続燃焼させる焼却炉を税金で建設してきた。今では、全国の一般廃棄物焼却炉は4分の1も余裕がある。環境省は法令まで変えて、産業廃棄物を都市ごみ焼却炉で焼却することを認めた。
3、焼却施設のエネルギー回収率の低さ
日本全国の焼却施設でごみ発電のできる施設は14%、そのうち売電している施設は4%程度である。その平均エネルギー回収率は10%で、75%以上エネルギー回収しているヨーロッパとの差はあまりにも大きい。廃プラスチックの焼却は、新鋭の炉ではダイオキシンの発生を低く押さえられるようにはなったが、塩化水素の発生量が増大するので、除去のために苛性ソーダ等の中和剤の費用負担や、焼却炉の腐食激化による保守・修繕費用の増加などあまりに負担が重くなる。地球温暖化防止にも逆行、日本のごみ焼却からは何も得るところがない。
<2005年2月18日に続く>
※本文中、講演当日配布の資料より引用部分あり