学びの保障と夜間中学校
国立公民館~憲法を考える連続講座~
8月26日(日)国立公民館において、夜間中学校の実情を描いたドキュメンタリー映画「こんばんは」の上映と、42年間にわたり夜間中学校の現場で教鞭をとっていた見城慶和(けんじょうよしかず)氏の講演がありました。
夜間中学とは、戦争や貧困等さまざまな理由で、学齢期に義務教育を受けられなかった方が改めて公教育を受けられる場でもあります。また何等かの理由で昼間の中学に通えなかった生徒も通っています。
学ぶことは、「人間らしく生きるために欠くことのできないもの」です。
しかし現在公立の夜間中学は東京都区内では7校、都下では八王子市のみにあります。生徒層は、社会の変化に伴い、戦後しばらくの間は主に学齢期の子ども→在日コリアン・中国からの引揚者・不登校経験者・戦中戦後の混乱期に義務教育を受けられなかった高齢者・外国人で母国で義務教育を終えていない人たちが学んでいます。
夜間中学の特徴は①自分から進んで入学する②多様な人の集団③成績・競争が意味のない学校④こじんまりした小さな集団⑤勉強はわかる所からその人がわかるように教える⑥集団そのものが多文化共生 であるとのことです。
2016年12月に「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が成立し、文科省は基本指針の中で「夜間中学等の設置の促進」の項目で、すべての都道府県に少なくとも一つは夜間中学等が設置されるよう(中略)協議会の設置・活用・広報活動などを推進する」と明記しています。
生活者ネットの基本政策の中に「多様性を認め合う共生社会をつくる」、そして具体的には「誰でもが学びなおせる教育システムを進め,学びを保障すること」があります。不登校で実は中学の義務教育課程を受けていない生徒も、今は中学卒業の免状は出してもらえます。しかし現実に学んでいないことで自分が“学びなおしたい”と思った時に夜間中学で基礎を学べることは幸せなことではありませんか。 (阿部美知子)