「年間被曝線量1ミリシーベルトを超える地域住民の選択的移住を保障する制度の構築を求める意見書」可決

「議員提出議案」可決で、国の各関係機関へ送られました!

 多くの市民の切実な声をまとめる形で、生活者ネットの前田せつ子が筆頭提出者として、他9名の議員の署名を付して「意見書」を提出しました。“可決”に至るまでの経過や最終本会議での審議内容は、前田本人がHPで追ってお伝えします。
 
 この意見書の趣旨は、自らの判断に基づく遠隔地への移住を経済的保障及び支援、行政措置等で保障していく制度の構築を国に求めるものですが、自民党の議員は、1ミリシーベルトの年間被曝がそんなに危ないなら、1ミリシーベルトを超える地域住民を強制移住させるべき、となぜ書かないのか?などと質疑し、意見書に反対しました。年間被曝線量1ミリシーベルトは、自民党が政権を担っていた時点から、公衆被曝限度量として定めてきたものですし、質問の趣旨も、反対の理由も、よくわかりませんでした。

 以下は、意見書に対する賛否と「意見書」全文です。ぜひ、お読みいただきたいと思います。

賛成:生活者ネット・共産党・みんなの党・社民党・みどりの未来・みらいのくにたち・新しい風 計11名
反対:自民党・公明党・民主党・つむぎの会 計10名
:::::::::::::::::::::::::::::

年間被曝線量1 ミリシーベルトを超える地域住民の選択的移住を保障する制度の構築を求める意見書(案)

 レベル7 に指定された東京電力福島第一原子力発電所事故は、大気、海洋、土壌に甚大な放射能汚染をもたらした。依然として事故が終息しない中、汚染地域に暮らす住民は外部被曝、内部被曝の危険にさらされ続けている。

 チェルノブイリ被災者救済法によれば、セシウム137 の土壌汚染が55 万5千ベクレル/㎡及び年間被曝線量5 ミリシーベルトを超える地域は「強制移住地域」に、土壌汚染が18 万5 千ベクレル/㎡及び年間被曝線量1 ミリシーベルトを超える地域は「補償付き選択的移住地域」に指定されている。この救済法は、1986 年のチェルノブイリ原発事故後、多くの子どもに健康被害がもたらされたことを受けて制定されたものである。一方、日本政府においては、原発から半径20km 圏内を警戒区域、半径20km〜30km の区域及び年間被曝線量20 ミリシーベルトに達する地域を計画的避難区域、緊急時避難準備区域(9 月中に解除予定)としているのみであり、指定外区域の住民の自主避難には保障がない状況である。

 放射線感受性が大人の3〜4 倍とされる子どもや妊婦の不要な被曝を避けるために、政府は最大限の努力をすべきである。9 月3 日、4 日に行われた世論調査(朝日新聞社・福島放送)によれば、福島県では9 割の住民が放射能に不安を感じ、3 人に1 人、中学生以下の子どものいる家庭では2 人に1 人が県外への移住を希望しているが、職探しの不安や移転にお金がかかる等の理由から躊躇している実態が明らかになっている。

 よって、国会及び政府においては、原発からの距離及び年間被曝線量20 ミリシーベルトで区分けした現行の避難区域指定を見直し、人工放射線による年間被曝線量1ミリシーベルトを超える地域住民の自らの判断に基づく遠隔地への移住を経済的補償及び支援、行政措置等で保障していく制度を構築すること、同時に汚染地域の除染を積極的に進めることを、強く求める。

 以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出するものである。
2011 年9 月  日
東京都国立市議会
提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、環境大臣、財務大臣、経済産業大臣、原発事故の収束及び再発防止担当大臣

以上